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「普通ってなんだろう?障害ってなんだろう?当事者・父・母の立場から、未来へ」(こころオフィス)

2012年11月25日

11月最後の日曜日の午後、こころオフィスが主宰する講演会があった。
普通ってなに?障害ってなに?ふつうと障害の境目について、当事者・父・母の立場から語ってくれるらしい。
人生で初めて降車した御徒町は勝手がわからず、iPhone5に導かれギリギリに到着。会場には50人くらいの人達が集まってた。

アズ直子さん

アズ直子さん

 トップバッターは、当事者の立場から、アズ直子さんの体験談。アズさんの名前はAsperger症候群のAsからとっている。”アスペルガーですが、妻で母で社長です”ということで、発達障害関連書籍を3冊執筆されているが、ここまで来るまでに出会った苦労とそれをどう克服したかの体験談を語ってくれた。

生きづらさを克服することは「ゲームだ」と言っていたのが印象的だった。「強くなるため、次のレベルに行くための繰返し」なのだと。 

 

大信田秀明さん

二番手は、知的障害者である娘さんのの父親の立場から大信田秀明さん。大和田さんは現在、知的障害者施設NPO法人あじさいの会理事長をされている。猛烈社員だった頃から現在に至るまで、大変だったできごとや気持ちが変わったきっかけを紹介し、今では「世の中には偶然はない。起こったことには全て意味を見い出し、あらゆる経験から多くの学びを引き出すことができる。」と言う。

 
 
 
 
 
松戸みゆきさん

松戸みゆきさん

 最後は、アスペルガーであり難病である息子の母親の立場から松戸みゆきさん。
何を考えているのか判らない息子さんの子育ての苦労、”べったり”だった親子関係、暴力。
「頭では判っていても、面倒をみることを止められなかった。息子を手放せなかった」自分が
カウンセリングに出会い、話す相手ができたことで孤独から解放され、徐々に息子さんを手放して
自立するまでになった過程を、当時を思い出しながら熱く語った。

 

 

結局”「ふつう」と「障害」の境目”については、深くは言及されることがなかったような気もしたが、
講演会の後は、多くの方が楽しそうに懇親会の場へと向かっていた。

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以下は筆者の備忘録です。講演内容をもっと知りたい方はどうぞ。

アズ直子さんの話から

子供のころから、人の気持ちが判らない、何でも率直に言葉にしてしまう特徴。ダウン症の妹さんがいることで見ることができた色々な選択肢。多国籍・異文化コミュニケーションを学んだ北京での留学体験。

転職を繰り返した社会人生活。こうした生き辛さを独自の方法で乗り越えてきた体験談を、ご自身は「ゲームだ」と言っていたのが印象的だった。「強くなるため、次のレベルに行くための繰返し」なのだ。

日本はとても平均化を求める国。求めて追いかけている普通は、とてもハイレベル。もう少し一息ついてもいいのではないか。

また、経営難で老人介護施設で働いた経験から、交通事故や脳卒中で人生の途中から障害者になった”個性”を持った人達も、それぞれに合った環境(クッション、泣ける場所…)を設定すれば、必要最低限ではなく、生きる価値、生きる喜びすなわちQuality of Lifeを得られる。

自分は不自由さを”障害”と表すことには抵抗はない。むしろ、”障がい”とか”個性”とか表すのはこて先の処理は余り好きでない、不自由だったら、面倒だったら、人に迷惑だったら、”障害”と言ってくれた方が気が楽。それすらも全て受容して、つきあいをしてくれる。あなたって邪魔よ、迷惑よ、大変よ。でも一緒にいるの。友達だから、親子だから、好きだから。と言ってくれた方が、嫌悪感を押し殺して関わってくれるよりずっといい。

自分が幸せだと言えるのは、選択肢がたくさん与えられたから。親が自分のしたがることを止めなかったこと。今の時代は、facebookなどを通じて色々な人がいるということ、色々な活躍の仕方がある、工夫の仕方があると知ることで選択肢が増える。選択肢が多ければ多いほど、自分にとって歩きやすい道が見えてくる。

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文・写真 高田敦子