自閉症・発達障がいの「いま」を伝えるオンラインマガジン

自閉症・発達障害に関するイベント情報

DIVERSITY Online創刊のご挨拶

2012年11月27日

自閉症・発達障がいの「いま」を伝えるオンラインマガジン「Diversity Online」を訪れて頂き、本当にありがとうございます。ひょっとすると無意識に、もしくは偶然にクリックして来ただけですか?そうだとしても「自閉症や発達障がいといった個性をもった仲間たちを理解しあいたい」そんな気持ちを、心のどこかでお持ちではないですか?私たちはそんな「必然の中から生まれた偶然」というご縁を大切にしたいと思っています。まずは、見に来てくれてありがとう!私たちはそれだけでもとても嬉しいです!

このメディアを運営しているのは、横浜の「港北ニュータウン」という新しい街にオフィスを構える、小さな小さなウェブ屋さんです。業種でいうとITとかコンピューターとか、どちらかというとハイテクで人間離れした無機質な機械が想像されるお仕事です。そんな私たちが、なぜこのようなメディアを立ち上げたのでしょうか。聞きたいですか?聞きたいですよね。ではちょっと長くなりますが、我慢してお付き合いください。(笑)

私が「発達障がい」という言葉を初めて知るきっかけとなったのは、2008年3月15日に横浜ワールドポーターズで行われた「企業・市民・NPO・NGOが横断的に集い、社会起業家とソーシャルビジネスについて語り尽くすシンポジウム」でのことでした。私は、後に弊社役員となる小林とともに「SNS構築と社会起業」というテーマでプレゼンをする機会に恵まれました。コメンテーターには「葉っぱビジネス」で有名な、株式会社いろどりの横石様がいらっしゃって、緊張して何を喋ったのか良く覚えてないほどです。インフォ・ラウンジは2007年6月創業ですから、今思えばあれは初年度だったのですね。

そのプレゼンの場に、後に「たすく株式会社」の出資者となる辻本様がお見えになり、「発達障がい支援のためのSNSを立ち上げたいが、協力してくれないか」と声をかけられました。当時は、そういう名前の障がいがある事は知っていたものの、どんな障がいなのかは全く見当も付きませんでした。

お気づきのように「たすくスケジュール」「たすくコミュニケーション」といったプロダクト名の元となったのが、この会社の名前です。たすくさんは、現在に至るまで、インフォ・ラウンジが最も古くからお付き合い頂いている大切なパートナーさんですので、ここで少し紹介しましょう。

代表の齊藤宇開さんは、とても熱い人です。初めてご訪問のアポを取らせて頂いた時には「遠路ですが、どうぞよろしくお願いします。志に燃えていますので」とのメールが戻ってきてひっくり返りそうになりました。齊藤さんは、国立特別支援教育総合研究所をこの3月に退職し、いままさに会社を起こさんというタイミングでした。「福祉はタダ」という日本の常識を打ち破り、高品質でサスティナブルな共存関係を根付かせるために、自ら公務員という安定した立場を捨て、敢えて「株式会社」で発達障がいの支援にチャレンジする、という心意気には、山をも動かしそうな気迫がありました。

かくしてインフォ・ラウンジは、インフォミームの和崎さんのご協力も頂き「子どもの発達応援団」という発達障がいをもつ子どもたち、家族、支援者を繋ぐ有料SNSを立ち上げるに至ったのです。この事業は今に至るまで、お互いにほとんど儲かってないのですが、インフォ・ラウンジとたすくが強固な信頼関係を築く礎となっています。

その後は「発達障がいのエキスパート」と「ICT活用のエキスパート」という、とても理想的な役割分担が自然に構築され、両社の共同事業として「たすく生活支援アプリシリーズ」が生まれました。

しかしこのような役割分担は、時としてセクショナリズムを生み出します。インフォ・ラウンジは発達障がいをもつ子どもに役に立つアプリは作り続けていますが、その改善点の抽出やフィードバックは、たすくさん任せになっているのではないだろうか。作り手であるエンジニアやデザイナーは果たして発達障がいというものを五感で理解しているのだろうか、そんな疑問が生まれてきました。そのために我々は障がいについて、もっと勉強し続けなければならない。そんな気持ちが沸いてきました。

もうお気づきでしょうか?これが、私たちがDiversity Onlineを創刊した最大の理由です。自分たちが本を読んだり、療育の現場に行ったり、セミナーに行って勉強する。それはとても大事なことだと思います。でも、それだけではあまりにも勿体ないと思いました。学んだことは共有すれば、もっと多くの人がハッピーになれるし、それに「7つの習慣」のコビー博士も「学んだことは48時間以内に人に教えなければ、その80%は忘れてしまう」と説いています。

「なんだ自己満足のメディアか!」と言われれば、私は躊躇無く「はい!」と答えると思います。それでも良いと思います。ここで仕入れた情報で、自分の中の何かが変わったり、心が救われたり、そういう人はこれからたくさん出てくると信じています。

このメディアの取材と記事化は、発達障がいの「専門家」が行うわけではありません。もちろん、世の中の平均的な理解レベルよりは勉強していますが、「発達障がいについて学んでみたい」と思っている人たちの視点に近いと思います。

特に家族や知り合いに「発達障がい」をもつ仲間がいなくても、彼らのことを理解することはとても重要です。駅や公共施設では、身体障がいのバリアフリーが進んでいますが、発達障がいのバリアフリーが同じように進んでいるかというと、まだまだ全然だと思います。まずは、私たちと一緒に「知る」ことから始めてみませんか?

インフォ・ラウンジ合同会社
代表社員 肥田野 正輝