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「イイトコサガシ~とやまの場合」(イイトコサガシ)

2012年11月20日

 

主催の冠地さん

金曜の夜の日暮里の会場は満員。殆どは当事者の方やその家族の方々である。
いつもながら発達障害のお子さんをもつご家族は勉強熱心な方が多い。

 

はじめにイイトコ探し主催の冠地さんの挨拶。
日ごろから、当事者・保護者・支援者の3つの連携がなかなか上手くいっていないと
感じていた。特に当事者が孤立しがちであったため、当事者が発信することで
三者の連携を促進し、生活しにくさを改善したいということで
今回のような当事者発信の支援者・保護者の方との交流を開催したという。

 

 

末村裕美さん

続いて末村裕美さんのお話。

富山県では不安を持ったまま何カ月も予約を待つ母親のために、発達障害者支援センターあおぞらとタイアップして、各種サロンが開かれている。
そこでは、先輩お母さんに不安な気持ちを打ち明けたり、実体験に基づいた情報を共有できる。

母親としてまた、とやま発達障がい親の会を代表する親としての想いを混ぜながら、サロンの運営について語る末村さん。

「私もそうだったよ」という先輩の一言がどんなに救いになり助けになるのかが、ひしひしと伝わって来る語り口は、3人のお子さんを持つ保護者として奮闘されてきた経験あってのこと。

 

木立伸也さん

 

お二人ともご自身の実体験を活かしつつ、保育士・看護士という立場から冷静な見方を通して、子供や保護者に関わっておられる熱き支援者であった。

 

質疑応答の後は、イイトコ探しワークショップ。
木立さんとリゲルさんが、ルールに沿って意図的な会話を行った。

・楽しい会話を心がける
・「興味がない」「よく知らない」という言葉で会話を阻止しない
・自分ばかり話さないなど普段から意識したい心がけである。

 

 

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以下は筆者の備忘録です。講演内容をもっと知りたい方はどうぞ。

 母親の視点、そして親の会の視点から見る発達障害」講師:末村裕美さん

とやま発達障がい親の会:会長、星槎国際高等学校:富山学習センター相談員・看護師)

~親の会の会長として

知的障害のあるダウン症、アスペルガーとLD、ADHDとLDである三人の子供の保護者である。
やわやわサロン(方言でのんびりしたという意味)は予約なし。

親はとても不安。
自身も子供がダウン症だと判り、親の会のお母さんの電話番号を入手してから電話するまでに1週間かかった。
診断をされているのに、電話をしたらそれを認めてしまう。という葛藤があった。
「発達障害かも。あおぞらに行って下さい」と学校から言われ、勇気を振り絞ってやっと電話したら3カ月待ちでは
耐えられない。誰にも相談できないでいる今現在もすでに大変なのだから。

そこで、支援センターに予約を入れてから待っている間はサロンに誘う。
まだ診断がついていないお子さんの保護者については、「”それっぽい”子のお母さんの集まりですよ」ということで、
やんわりと初めのとっかかりを作っている。
サロンは「やわやわ」のほかにも、アスぺルガー対象・思春期対象・ADHD対象、知的障害全般対象(あおぞら主催)があり
年に5回、新学期、夏休み後など大変な時期に合わせて開催している。

お母さんには学びが少ない。ネットに情報は溢れているが、富山の生情報は出ていない。
正しく学ぶ機会として診断告知、薬、などの講座も、支援センターの協力を得て開催している。

まずは母親を元気にすることが最大の支援。
誰も解ってくれる人がいない孤立感があるので、解ってくれる人がいることが大事。
支援センターだけでは賄いきれない。
同じような経験を持ったお母さんが、「私もそうだったよ」と言ってくれるのが嬉しい。
一人じゃなかった。という思えるのがいいところ。

実際は母親も当事者のことが多い。それを認められないお母さんは拗れて、家庭内暴力や家庭崩壊を招くことが多い。
お母さん自身にいじめ、不登校があった。
こじれた親が育てるから子供もこじれて、過剰反応してモンスターペアレントになる。
本当に多い。もっと言えば祖父母も当事者なことが多い。

母親はスーパーバイザーを求めている。
しかし、「どこどこへ行って相談して下さい。頑張って下さい。」と放りだすのではなく
「一緒に頑張りましょう。」というスタンスをとっている。

子供の偏りが判らず、学校や友達など周りのせいにしている親も多い。
まずは知ってもらうことから。それから正しく学ぶことが大事。

文・写真 高田敦子